山本 智子 展 - 世界の取扱説明書 vol. 1 -

Overview

この度、コウイチ・ファインアーツでは、11月30日~12月14日の間、ブレーメン(ドイツ)在住の山本智子(やまもとのりこ)の展覧会を開催致
します。

 大阪の出身で、2004年”University of the Arts Bremen”に入学、2010年卒業後、大学院に1年通い修士を取得。その卒業制作が最優秀賞を受賞し、
副賞で、今年2月Delmenhorst市立美術館にて個展を開催。
今展と1月の2回にわたり、その出品作を逆輸入のような形でご紹介して参ります。

 DMに掲載の塔のような立体は100枚の正方形の板で構成されています。
それぞれ1枚ずつの独立した板のように見えますが、それぞれの正方形は必ず一辺が連結されていて、展開すると1枚の大きな正方形の平面になり、折りたたむと立方体になります。また、100枚の内50枚には、それぞれの中心が丸く切り抜かれていて、立方体にすると内部に球体の空間が出来る仕掛けになっています。ただし、外からは確認出来ません。それは単独でオブジェとして完成された作品ではありますが、組み立て工程を真上からビデオ撮影されており、そのビデオも作品として構成されています。

 仏教の寓話「盲人象を評す」(作家コメントは下部に記載*)が、山本智子の一連の制作のきっかけになったとのことです。

 このように、一見すればそれぞれの状態で完成されていると思われるが、
実は様々な形に変化するという不思議な作品・・・。
山本智子の作品は、一見繊細ですっきりと美しい立ち姿をしていますが、それらは物理的な計算に基づいた安定感も備わって、高いクオリティの美術作品として完成されています。

 先月、第7回タシュケントビエンナーレ(ウズベキスタン共和国)に招待
され、来年5月にはブレーメンで3年に一度開催されるArt Messe, kunstfrühling 2014に出品が決まっています。

 ご多忙とは存じますが、是非とも会場にて作品をご高覧くださいますようお願い申し上げます。

*作家コメント*

『 複数の盲人が一頭の象のいろんな体の部分に触ってみた。
耳、足、しっぽ、牙、鼻、etc…
それぞれの盲人は触った部分から象が如何なるものか主張した:

象とは扇のようなものだ、
いや、木である、
縄だ、
槍だろう、
いやいや、蛇だ。

そうして 結局誰も全体を理解することができなかった。 』
[インドの寓話「群盲象を評す」より]

— Die Welt, die wir sehen, ist immer ein Teil des Ganzen.
我々の見ている世界はいつも一部分である

山本智子
Noriko Yamamoto